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公開質問状を提出

この度、当会より日向山・大出日山風力発電事業を進めるジャパン・リニューアブル・エナジー株式会社(本社 〒106-0032 東京都港区六本木6丁目2番31号六本木ヒルズノースタワー15階)へ風力発電事業に関する公開質問状を提出しましたのでここに報告いたします。


(公開質問状のダウンロードはこちら)


令和 5年 3月 30 日

 

ジャパン・リニューアブル・エナジー株式会社

代表取締役社長

竹内 一弘 様

 

 

 

(仮称)日向山、大出日山風力発電事業の周辺地域への影響に関する公開質問状

 

 

日向山・大出日山の風力発電を考える会 

(神話の里と豊かな自然を守る会) 

島根県安来市伯太町母里133 

共同代表 木村 良臣、ファティフ イムラン 

 

 世界各国は、脱炭素社会を実現するために再生可能エネルギーに転換しようとしています。その中でも、風力発電は脱炭素を実現する手段として注目されていますが、進め方によっては環境破壊につながる可能性もございます。今回、貴社が計画している日向山風力発電事業と大出日山風力発電事業は、国内に建設された風力発電所と比較して、たいへん規模が大きなものでありながら、建設予定地周辺には住居が存在するなどいくつかの懸念がございます。陸上風力発電では、一般的に1000kW3000kW出力の風車が使用されてきましたが、今回の計画では、日向山風力発電事業には4200kW出力の11基、大出日山風力発電事業には4200kW出力の13基を設置する予定と認識しております。国内各地において、年々増加を続ける太陽光や風力発電施設に対し、既存の法令や規制では十分に対応できていないことが明らかになりつつあり、住民とのトラブルや自然環境の破壊などの事例が増えています。特に、建設予定地は、安来市、雲南市、松江市の生活を支える重要な水源地であり、大切な自然環境への影響を及ぼす事業者には、一般企業以上に企業コンプライアンスが求められます。しかし、貴社がこれまで行ってきた「地域住民への十分な理解を求める姿勢」について、社会的説明責任を果たしているとは言い難く、地域住民には不安を抱かせるものでした。現在、地域住民はこの計画に対して強い不安と危機感を抱いており、平和なこの地域における最も深刻な問題となっています。このたび、当会に寄せられた住民の疑問や意見をまとめ、公開質問状として、複数の質問を用意しました。ご回答いただけますよう、お願い申し上げます。

 

 

1. 保安林について

日本政府の「生物多様性国家戦略2012―2020」では、生物多様性を維持・回復し、生態系サービスを将来にわたって享受できる自然共生社会を目指すために、維持可能な利用を通じて生物多様性を豊かなものにすることが重要視されています。再生可能エネルギーの導入が求められる一方で、生態系への配慮も必要とされています。そして島根県安来市の「都市計画マスタープラン」(平成26年)でも以下のように定義しています。

 

  安来市の南部に広がる山地部は、自然環境保全ゾーンと位置づけます。

  豊かな水源や森林など自然の恵みを提供できるように、自然環境の保全に努めるとともに、森林の多面的機能を有効に活用します。

  市域の南部に広がる山地部では、森林の多面的機能を有効的に活用するため、水源かん養機能の維持及び土砂流出などの防災機能の維持を図るとともに、自然環境や自然景観の保全、森林の育成などを図ります。

  広瀬・伯太地域に広がる中国山地からの山なみ、十神山などの市街地周辺の丘陵地は、良好な自然景観を形成するのみならず、国土保全や水源かん養などの機能も持ちあわせていることから、安来市の貴重な自然環境、自然緑地として保全します。

 

今回の風力発電事業計画地のほとんどは、南部の山地部に位置し、自然環境保全ゾーンや保安林【図1、図2】に該当しています。保安林とは、林野庁によると『水源の涵養、土砂の崩壊その他の災害の防備、生活環境の保全・形成等特定の公益目的を達成するため、農林水産大臣又は都道府県知事によって指定される森林』と定義されています。事業想定区域には、特に水源涵養林という看板が多くあり、ここを切り拓くことは、周辺地域だけでなく河口の市街地にも多大な影響を及ぼす可能性があります。貴社が行う事業においては大規模な森林伐採が行われ、これらの方針とは相反するものですが、この点についてどのようにお考えですか?貴社のお考えについてお聞かせ下さい。

 

 

2. 水源地を建設対象地に選定した理由について

風力発電事業計画地の周辺は昔から農業が盛んな地域ですが、水源地の山を切り拓くことによって水の流れが変化したり、土砂が頻繁に流出して水質が汚染されてしまう恐れがあります。水質の汚染が地域の暮らしを支える生活の根本である農業へ被害を及ぼすと、農業従事者の生活に支障が出ることはもちろん、地域全体としての大きな魅力のひとつである「安全な食」が脅かされます。また「緑のダム」である山々の尾根を切り開く事は、山の保水力の低下にもつながります。安来市、雲南市、松江市民の大切な生活水を育む大事な山々です。大規模な森林伐採や搬入道の工事によって土砂が流出し水質汚染が懸念されます。また建設に伴う除草剤の散布や洗浄剤の流出等も懸念されます。農業従事者だけでなく、水への拘りを持った生産者の製品にも影響が考えられます。どうしてこのような大切な場所に事業を計画されるのでしょうか?私たちの大切な水源地に影響を及ぼしてまで計画を遂行しようとする理由について貴社の考えをお聞かせください。

 

 

3. 地質学的に危険な場所を計画予定地として選定した理由について

建設を予定されている地域は「都道府県土地分類基本調査(国交省)」の冊子にも記載があるように「この地域一帯の地質は花崗岩の風化した、いわゆる雲南まさ土であり、水によって崩壊しやすい特性は、カンナ流しによるタタラ製鉄を盛んにし、農地や宅地の造成を容易ならしめる等、開発に利点は多いが反面、雨期には、しばしば山腹崩壊を起し、人家に被害をおよぼしてきた。この地域の開発をすすめるにあたっては、この雲南まさ土の地質特性を十分に研究して開発計画を進めなければならい。」と注意喚起しています。地質が花崗岩で、深層風化している箇所が多いことから、山を切羽しやすく、タタラ製鉄の適地であったため、かつては盛んにカンナ流しが行われていたのです。そういったこともあり西比田に全国の製鉄の神の総本山である金屋子神社が鎮座しているわけですが、一方で山々の土砂を支えている木々が失われ、雨水が浸透すると崩壊しやすいため、かつては度々土砂災害に見舞われていたと史実に残されています。豪雨による昭和 39年災害時には、主として表層滑落型崩壊、昭和 47 年災害時には、深層型崩壊の土砂災害が起こっています。地質学者である田中芳則氏の「花崗岩類分布域における古来のたたら製鉄と斜面崩壊」の研究論文によれば、カンナ流しによって風化層が切り崩されている箇所は崩壊の危険性は低いが、カンナ流しを行っていない場所ではむしろ潜在的な深層型崩落の危険性がある、ということを伝えています。今回、建設にあたっては当然ながら専門家のアドバイスと徹底した調査の元に行われると思われます。しかしながら、日向山南部に関しては既に山が切り拓かれている場所があり、周辺では落石注意の看板も立ち並び実際に土砂や岩が崩れ、車道にも岩が転がっているような箇所が多く見られます。いくら専門家の元で建設を行うとはいえ、尾根沿いを切り開いて雨水に晒し、数百トンものコンクリートや数十トンもの鋼線を掘削して埋め込み、その上にさらに数百トンの風車を建てれば、深層型崩落の危険性はさらに高くなるのではないかと不安に感じます。適地ではない場所へ建設を行おうとすれば、余計な土壌改良や岩盤補強なども大規模になると想定されます。またそういった行いが思いもよらない別の問題も引き起こす可能性もあります。最近のゲリラ豪雨による災害増加の背景もあることから、想定外の事態が起こっても不思議ではありません。果たして最悪な事態をどの程度想定しているのか?地域住民の多くはまさ土の山にそんな巨大な建造物を建てて危険だと感じています。貴社からは、「そういった事態が起きないようにする」という回答ではなく、具体的にどういった最悪の事態を想定されているのか?またその事態が発生した場合にはどのように補償を行うのか?貴社の想定災害と補償プランについてお聞かせ下さい。

 

 

4. 自然景観と歴史空間の保全方針への配慮について

安来市では「自然景観と歴史空間の保全方針」の基本的な考え方として「水と緑豊かな自然環境や自然景観、安来市に遺された歴史的・文化的資源が創り出す空間について、保全・保存を進めるとともに、その利活用にも努めます。」としています。貴社から提供された配慮書を拝見したところ、数多くの歴史的空間の景観へ影響を及ぼす事が見受けられます。建設計画予定地の周辺は本国の古代歴史を今に伝える「古事記」に記された伝承の地です。地域住民は先祖代々に渡り、この地域の神社や伝承地を大切に守ってきました。そのような場所に地上40階建てビル相当の巨大且つ近代的な建造物が何基も立ち並ぶ事は、歴史的空間の景観に対する深刻な影響を及ぼすことになります。建設予定地から僅か3.5㎞の場所には古事記に記された「比婆山」があります。比婆山は、我が国を創造した大母神・伊邪那美大神の御神陵地です。地域の住民のみならず、私たち日本国民と八百万神々にとっての母であります。その御神体である聖域に、景観や騒音の影響が及ぶことは古来よりこの山を守り続けてきたご先祖と多くの日本国民にとって到底許容できるものではありません。比婆山だけではありません。須我神社、須佐之男命御磐座、熊野大社、天宮山、稚児岩、玉神社、国主神社、金屋子神社、常盤神社、月山富田城、さぎの湯、鷹入りの滝等からも可視領域です。【図3,図4】これらの重要な歴史的空間への影響以外にも町の観光事業全体への悪影響を及ぼす懸念がある計画であることは明らかです。したがって、この地域の重要性を考慮し、歴史的な景観を守るためにも、建設計画には住民の合意と相当な配慮と対策が必要不可欠です。以上について貴社のお考えをお聞かせください。

 

 

5. 山岳信仰や修験道への影響について

「今回の事業地、坊床には「比田三十三番霊場札所、坊床大師堂」があり弘法大師が祀られています。日向山と共に、古くから山岳信仰と修験道の聖域であり、今なお大師堂周辺はきれいに整地されており、地元の人々の信仰が生き続けていることが感じられます。今回公表された「(仮称)日向山風力発電事業に係る計画段階配慮書」には日向山の歴史・文化に関する影響評価がほとんど記載されておりません。今回の事業が展開した場合,山岳信仰や修験道の聖地に対して大きな景観・環境の破壊が齎されます。計画地は単なる「物理的空間」ではありません。人間と自然が作り上げてきた「文化的景観」です。人間が長い間、親しみと畏敬をもち、信仰の対象としてきた聖なる山です。風景や景観の中には「目に見えないもの」があり、人々はそれを神仏の信仰として長い間、大切に維持継続してきたのです。憲法第20条において信教の自由は保障されており、今回の事業を推し進めることは人々の敬虔な想いと聖地に対する冒涜です。今回の事業が先例となれば、日本各地に数多くある山岳信仰や修験道に関わる山では、どこでも風力発電が可能となり歯止めが効かなくなります。日本人は山川草木のすべてに「いのち」が宿ると考えてきました。慣れ親しんできた山川大河、美しい森、田園風景の景観破壊が加速度的に進み「ふるさとの風景」が失われていく可能性があります。以上山岳信仰の観点から風力発電事業計画の撤回が妥当と考えますが、貴社のお考えについてお聞かせ下さい。

 

 

6. 特定天然記念物や絶滅危惧種への影響について

この地域は、国が指定した天然記念物であるオオサンショウウオやヒシクイ、マガン、オオタカなど、多くの貴重な生物が生息しています。また、コウノトリやハクチョウなども飛来する地域で、自然の豊かさを象徴しています。さらに、日向山や大出日山を水源としている伯太川や飯梨川は、内水面漁場である中海の豊かさを支えています。中海には多くの生き物が生息し、漁業者たちはそこでとれる魚介類を生計の糧としているだけでなく、地域の食文化を支える重要な役割を果たしています。しかし、この事業による森林の開発によって周辺の自然環境や水の流れが変わり、これらの希少生物やその他の野生動物の生態系に影響を及ぼすことが懸念されます。また、建設予定の山には貴重な植物が生育しており、工事の際に伐採される恐れがあります。御社の配慮書によると、建設予定地は植生自然度1087に当たる場所に位置します【図5,6】。地域の豊かな植生の破壊に意を介さない計画ではないかと思われます。特に、影響を受ける植物の中には、環境省のレッドリスト【参考資料1】に載っているものもあります(オオバシナミズニラ、ミズニラ、シロテン、フウラン、ムギラン、イズモサイシン、ヒナランなど)。それらについてどのように保全していくのか、貴社のお考えについてお聞かせ下さい。

 

 

7. 定住支援や不動産価値への影響について

安来市は、UIターン者を積極的に呼び込む政策を実施しています。豊かな自然と安心した暮らしに惹かれ、移住してきた多くのUIターン者にとって、今回の日向山・大出日山の風力発電事業計画は非常に衝撃的です。この計画が実現すれば、地域の景観が大きく変わり、健康被害も懸念されます。すでに多くのUIターン者が、この事業が実現する場合は安来市を離れるつもりであることを示しており、今後移住を考えている人たちにとっても、安来市を選ばない理由となるでしょう。地元の方々は移住者を歓迎し、地域に溶け込めるようにと努力していますが、このような事業計画が実現すれば、その努力が無駄になってしまいます。地域住民と行政が移住政策で築き上げてきた地域の絆に大きな損害があることは、深刻な問題ですが、この件についてどのような対策をお考えでしょうか?貴社のお考えについてお聞かせ下さい。

 

 

8. 不動産価値への影響について

風力発電施設の建設により、周辺の景観が大幅に変化することがあります。特に、風車の高さが高く、周囲の景観に対して大きな影響を与える場合があります。このような風車の景観は、不動産の景観価値を下げる可能性があります。また、風車の運転中に発生する騒音や振動は、周辺の不動産価値にも影響を与える可能性が高いと言えます。特に風車が近くに建設されている場合、騒音や振動の影響で、例え伝統的な日本家屋や古民家等であっても不動産の魅力を低下させ、不動産価値を下げる可能性が高いと言えます。郊外の伝統的な古民家であれば、数千万円の価値はありますが、騒音や低周波が届くのではないか?との理由で全く買い手がつかなくなる可能性も十分に起こりえます。現に、東伊豆町や高知県でも不動産が売れないという被害者の声が上がっています。このように、風力発電施設の建設が不動産価値に影響がある場合には、事前に適切な補償制度や地域住民との事前の合意が必要なはずです。貴社がどのように地域の不動産価値を担保していくのか、その対策についてお聞かせ下さい。

 

 

9. 地域住民への説明責任と合意形成プロセスについて

環境影響評価法において、地域住民への説明の適切さや充実度が求められており、地域住民が事業内容や影響予測について十分に理解できるよう、事業者は最大限の努力を求められています。事業者である貴社は地域住民に対して十分な説明を行うことが望ましいとされており、地域住民が納得するまで説明を継続することが重要と考えられます。また、地域住民からの意見・要望に対しても、真摯に受け止め、適切に対応することが求められています。しかしながら、貴社が行っている風力発電事業においては、地域住民へのデメリットについても十分な説明を行っているとは言い難い状況が見受けられます。例えば、風車から最も近い距離にある東比田地区や赤屋地区の地域民に一軒ずつヒアリングを行ったところ、貴社から十分な説明を受けている人は殆ど存在せず、騒音・低周波の影響が発生する可能性や風車の大きさについてすら無知に等しい状況でした。このような状況を踏まえ、貴社は少なくとも影響の及ぶとされる地域住民に対しては一軒ずつ訪問し、デメリットについても適切に説明する対応を求めます。また、3月11日の事業者説明会では、多くの地域住民が納得できないままの状態で事業を押し進めず、配慮書段階での説明会を再度開催するよう求めました。加えて方法書の延期を求めましたが、貴社は地域住民の声に耳を傾けず、方法書説明会を実施する意向を示しています。貴社は説明会で市民の意見に耳を傾けると言いながら、実際には真逆の対応をしているため、地域住民から不信感を抱かれています。もし貴社が地域住民に対して適切な説明を果たさない場合、事業を中断し、撤退することは必要不可欠と考えられます。地域住民の権利と環境影響評価法の趣旨を尊重し、真摯に取り組んでいただくことを求めていますが、説明責任に対する貴社のお考えについてお聞かせください。

 

 

10.  防空レーダーへの影響について

貴社が建設を予定している風力発電所の近くに我が国の防衛上重要な防空レーダーサイト(美保基地)が存在しています。レーダーサイトの約100Km圏内にある風力発電所が敵機検知能力に影響を与える可能性があることは、既に一般的に知れ渡っている事実であり、防衛省も風力発電建設時の報告を求めています。そのため、貴社も例外なく防衛省や自衛隊にすでに報告や相談を行い、配慮や対策が取られていることと思います。しかしながら今のところ、全く本件について貴社からの説明は見られません。当建設地においては具体的にどのような対策を施すのか、地域住民の安全にかかわる問題ですので、住民が安心できるようにわかりやすくしっかりした説明を求めます。レーダーサイトへの影響と対策についてどのような対策を行って地域住民の安全を担保していくのか、具体的に貴社のお考えをお聞かせ下さい。

 

 

11.  騒音・低周波のリスクについて

周辺に民家がある山間の土地に、11基から13基もの4,200kWの巨大風車を建設する計画は前代未聞のことです。これまで国内外で、3,000kW以下の風車でも23kmの隔離距離で風車騒音による睡眠障害などの健康被害が発生していることが報告されています。諸外国の農村部や静穏を要する地域における騒音基準値・ガイドラインにおいても、基準値は3540dBと定められています(平成24年度風力発電施設の騒音・低周波音に関する検討調査業務報告書)。環境省でも2004年に低周波音問題対応の手引書を作成し、静穏を要する場での騒音参照値を35dBと定めました。また、低周波音に関する感覚については個人差が大きく、参照値以下でも低周波音を許容できない可能性が10%程度残されているとしています。図7は、北海道大学の田鎖順太教授が公開した洋上風車による騒音・健康リスク評価ソフトウェア「H-RISK」から予測される騒音影響範囲を示しています。予測図については予測に過ぎませんので過大な結果であるかもしれませんが、人的被害の可能性がある以上、リスクヘッジの観点から過小評価することは適切ではありません。風車の低周波音の健康被害が生じた場合、住民の選択肢は移転するしか方法はありません。自治体行政にとっても深刻な問題です。貴社の計画においては、700mしか離れていない場所に民家が存在しています。住居移転の補償を前提とした計画であれば、地域住民へ具体的な補償条件についての説明も行っていただく必要があります。貴社のお考えをお聞かせください。

 

 

12.  宮城県加美町における対応について

貴社が進めている宮城県加美町の風力発電事業について、地域住民との間で問題が起きていることがNHKなどで報道されています。問題の主な原因は、町有地貸付に締結した地上権設定契約の内容にあります。契約には、町が一定以上の債権を放棄する条項が含まれており、地域住民は事業終了後の原状回復や風力発電による事故に対する適切な対応が求められないと不平等な内容を懸念しています。町は不利益がないと主張していますが、日本環境保法律家連盟の弁護士らはこの契約をチェックし、全国的にも他ではこういった事例は見たことがない不利益なものとして指摘しています。弁護士の解説によれば、「例えば、豪雨、地震、地すべりなどで自然災害が起こり、甲乙どちらの責に帰すべきものでない場合、その復旧については、土地貸主である町側(甲)が遅滞なく、町の費用と責任で、復旧・修復をすることと定めている(条文第6条・第2項)。加えて、隣地の所有者、または占有者その他第三者との間で訴訟、調停、仲裁、クレームなどが発生した場合は、町がその責任、費用により、遅滞なくこれを解決する、としている。他にも『第12条 甲の約束』において、事業者が倒産した場合、事業者が負担するのは事業者がその時に保有する現金、預金および財産に限定している。また、町が事業者の債権を放棄することを約束し、財産の差押えなどは出来ないように設定している。風力発電事業を実際に行い、町との地上権設定契約を取り交わしているのは、JRE本体ではなく、別に設立されたJRE宮城加美という合同会社で資本金はわずか200万円しかない。この会社が20年後に風車を撤去するとなったときに、果たしてきちんと撤去できるのか?風車を撤去にかかる費用は1基あたり1億円以上かかるが、町が負担することになる不安も残る」とのことでした。そのため、地域住民は契約が違法だとして住民監査請求を行っています。風力発電事業を行うにあたり、その地域に合同会社が設立され運用されるのは一般的だとは思いますので、当地域でも同様に本体とは切り離された合同会社などが設立されると思われます。しかし、私たち地域住民はこのような不利な条件を押し付けられることを懸念しています。なぜ加美町ではこのような契約が締結されたのかその理由についてお聞かせ下さい。また、計画が進んでいけば、本計画地でも合同会社が設立されると思いますが、耐用年数が20年の風車の撤去については問題ないと言えるのでしょうか?貴社のお考えをお聞かせ下さい。

 

以上で質問を終わります。二週間を目途としてご回答いただきますようお願いいたします。



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